mengineer's blog

ニッチなネタばかりですが。

EMVA1288の世界その6:Release3.1での変更内容

過去記事はこちら

先日のネタで紹介したEMVA1288 3.1の変更点を規格書で調べてみました、
今回はおおまかな概要だけ、その中で重要そうな項目については引き続き、
また今後の記事で詳細を調べていこうと思っています。

Release3.1規格書の38ページ目に、3.0からの変更点が記載されています。 f:id:mengineer:20170124205850p:plain

以下、上記番号順に見てみましょう。

1. 光源のスペクトル分布の考え方の変更

その1で出てきた、光子数(photon) μpの下記の計算式 f:id:mengineer:20160402141542p:plain

式の{\lambda}が光源の波長です、3.1では近似波長{\lambda_{c}}を定義して
ピーク波長{\lambda_{p}}の代わりに上式で使うようになっています。

3.0では、光源の波長の平均値や標準偏差も定義する必要有りとか、
その他ややこしい計算式も載っていましたが、3.1ではそれらの内容は、
無くなっていました、要はシンプルな考え方に変わったようです。

波長{\lambda}が変わると光子数μpも変わりますが、影響を受けるのは量子効率{\eta}だけです、
量子効率を厳密に計算するなら考慮すべきですが、それ以外は関係無さそう。

2. 飽和点の取り方

下記のグラフで、カメラが飽和する点を"saturation point”と呼んでいました。 f:id:mengineer:20160405231614p:plain

従来はグラフの縦軸、デジタル出力の分散値が最大になるところでしたが、
3.1では、”より洗練されたアルゴリズム”を使うように推奨されています。

具体的には規格書の16ページ、6.6の下記の部分 f:id:mengineer:20170125102226p:plain

グラフのカーブを右から見ていって、次の2つが自分より低くなっている点
通常は単に最大値と同じ点になりそうですが、カーブの形状によっては??
この方法で無いと駄目な場合が有るのかも?、うーんいまいち判りませんが、
今後は、この方法で見ていくようにします。

3. 直線性の評価アルゴリズム変更

絶対偏差で計算していたのを、higher dynamic range of modern image
sensors にも適合出来るように、相対偏差で計算するように変わってます。

これまでの記事で、直線性の評価は調べていなかったので、
今回の変更も踏まえて、別記事で詳細を見ていきたいと思います。

4. non-whiteness factorの削除

これもこれまでの記事で触れていなかったので、正直良く判りません….、
今後もっと良いアルゴリズムが出てくれば、復活するみたいな話です。

但しDSNUやPRNUについては、同じくこれまで全く触れていなかったので、
今後の別記事で詳細を調べていきたいと思います。

というのは、上記変更には有りませんが、以前の記事でも少し触れた下式 f:id:mengineer:20170125105259p:plain

3.1ではSNRの計算で、DSNUやPRNUも考慮するように変わっているのです、
個人的にですが、ここが今回の一番のポイントじゃ無いかと考えているので。

5. Defect Pixel の変更

関連するヒストグラムアルゴリズムが変わった?みたいな話なのですが、
ここもこれまで見ていなかったので、詳細を理解出来ていません。

現在公開されているカメラメーカーのEMVA1288データの中にも、
Defect Pixel関連のデータは無かった記憶。(私の知る範囲ですが)
今後は公開されるようになるのかな?

今回の変更に限らず、規格で決められた内容をどこまで測定/公開しているか?
これまでもカメラメーカーで様々だったので、調べる側で悩みのタネでした。

今回の3.1では、公開するデータシートの書式も共通化されるようなので、
今後はもう少し統一されて、比較しやすくなることを期待しています。